求道の旅人 聞中浄復 3

聞中は伊藤若冲の書雁を学び、紙一枚ずつ寫すことを日課としました。

そして、そのことを大典に許しを請いました。

大典は手紙で答えました。

「吾人佛徒には重要な一大事がある、それが為には爪を剪るに遑もないはずである。文学の如きも固より本務ではないが、道を資するため、性の近き所、才の能くする所を以て、緒餘の之を修むに過ぎぬ、その他の芸術は、法道に於いて何の所益がある、父母が汝に出家を許し、師長が教誡して汝を導き、檀越が汝に衣盂の資を供給する等の本意は那邊に在るか、宜しく考慮せよ、余の許不許の関する譯ではない… 」