倹徳

桧垣真種は「浪華風流繁昌記」の中で、「字倹徳花月菴鶴翁ト号ス 又松風清社毛孔 三種亭其行等ノ号有」と記載しています。

これは「倹徳」および「花月菴鶴翁」が初めて登場する記録です。

したがって、天保九年(1838)四月に一条忠香公より「鶴舞千年樹」の染筆を賜わった以降の記録と推定できます。

また、鶴翁師は在世中の大半は「毛孔」「素徳」を用いていましたが、晩年に「倹徳」を用いていたことがうかがえます。

「倹徳」の由来は陸羽の「茶経」からです。「茶経」の「五之煮」で「茶の性は倹」、「一之源」で「茶は行い精れ倹の徳のある人が飲むのに最もふさわしい」と言っています。